脳内にメイドや執事を飼うべき、という話。~新橋心療内科コラム

人は、自分に対してだけ妙に厳しくなってしまうことがあります。
友人が失敗して落ち込んでいたら、
「そんなに気にしなくていいよ」「十分頑張ってるよ」と声をかけられるのに、
自分が同じ失敗をすると、
「なんでこんなこともできないんだ」「自分は本当にダメだ」と容赦なく責めてしまう。
考えてみると、ちょっと不思議ですよね。
そこでおすすめしたいのが、脳内に「自分のことを大好きなメイドや執事」を住まわせることです。
何かに失敗したら、「大丈夫でございます。こんな日もございます」と言ってもらう。
仕事をひとつ終えたら、
「さすがでございます。本日も素晴らしい働きぶりでした」と褒めてもらう。
朝ちゃんと起きただけでも、「お見事でございます」と言わせてしまう。
もちろん、実際にメイドや執事がいるわけではありません。でも、独り言なら何を言ったって自由です。
心理学には「セルフ・コンパッション」という考え方があります。
簡単にいうと、苦しいときや失敗したときに、自分自身に対しても思いやりを持って接することです。
私たちは「自分に優しくすると甘えてしまう」と考えがちですが、
自分を責め続けることだけが成長につながるわけではありません。
たとえば仕事でミスをしたとき、
「こんなミスをするなんて最低だ」
と責め続けるより、
「ミスはした。でも、ここから直せばいい」
と考えたほうが、次の行動にも移りやすくなります。
そこでメイドや執事の出番です。
「失敗されましたが、反省もされました。次に活かせばよろしいかと」
「今日はお疲れのようです。まずはお休みになってはいかがでしょう」
こんなふうに、自分ではなかなか言えない言葉を、脳内の誰かに代わりに言わせてみるのです。
ポイントは、無理やり「自分は天才だ!」と信じ込もうとすることではありません。
自分を責める言葉ばかりが頭の中を占領しているなら、それとは違う声も用意してあげること。
頭の中に厳しい上司しかいないなら、ひとりくらい、とことん自分の味方をしてくれる人がいてもいいのです。
しかも脳内ですから、お給料もかかりません。24時間勤務可能です。
「今日はよく頑張りましたね」
「それくらいの失敗、どうということはございません」
「あなた様なら、また明日からやれますよ」
そんな言葉を何度も自分に向けているうちに、少しずつ自分との付き合い方も変わっていくかもしれません。
自分を一番近くで見ていて、一生付き合っていく相手は自分自身です。
だったら、その自分に毎日ダメ出しをするより、脳内に一人くらい、自分のことを大好きなメイドや執事を置いてみてください。
今日一日を終えたあなたにも、きっとこう言ってくれるはずです。
「本日も大変お疲れさまでございました。十分よくやっておられますよ」
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



