記憶力の本を読んだあとにありがちなこと(実話)~新橋心療内科コラム

せっかく勉強したのに、数日後には内容をほとんど覚えていない。

そんな経験は、誰にでもあるものです。

実は、人間の脳は、一度読んだだけですべてを記憶できるようにはできていません。

大切なのは、何度も読み返すことよりも、「覚えた情報をどう使うか」です。

今回は、心理学や記憶研究で知られている、記憶力を高めるための3つの方法をご紹介します。

① 覚えたことを「思い出す」

記憶を定着させるうえで効果的なのが、「検索練習」と呼ばれる方法です。

これは、覚えた内容を何も見ずに思い出そうとすることです。

たとえば、本を10ページ読んだら、いったん閉じて、

「今、どんなことが書いてあったっけ?」

と考えてみる。

そして、思い出せなかった部分をもう一度確認します。

実は、ただ繰り返し読むよりも、こうして記憶を取り出す練習をするほうが、
長期的な記憶の定着に役立つことが研究で示されています。

② 一度に覚えず、時間を空けて復習する

試験前に一晩で全部覚えようとした経験はありませんか?

もちろん、それでも一時的には覚えられるかもしれません。

しかし、長く記憶に残したいなら、時間を空けて復習することが大切です。

これは「分散学習」と呼ばれる方法です。

たとえば、今日覚えたことを翌日、数日後、一週間後にもう一度確認する。

一度に何時間も勉強するより、短い復習を何回かに分けるほうが、長期的な記憶の定着に効果的な場合があります。

忘れかけたころに思い出すことが、記憶を強くする助けになるのです。

③ 覚えたことを「誰かに説明する」

最後におすすめしたいのが、学んだ内容を自分の言葉で説明してみることです。

たとえば、心理学の本を読んだら、

「今日、こんな面白い心理効果を知ったんだよ」

と、友人に話してみる。

相手がいなければ、ひとりで説明しても構いません。

説明しようとすると、内容を整理したり、具体例を考えたりする必要があります。

その過程で、自分が理解できていない部分にも気づきやすくなります。

ただ読むだけでなく、内容を思い出し、自分の言葉に置き換えることがポイントです。

記憶力は「覚え方」で変わる

私たちはつい、「記憶力がいい人は、頭がいい人」と考えがちです。

でも、記憶の定着には、生まれ持った能力だけでなく、学習方法も大きく関係しています。

大切なのは、覚えることだけに集中しないこと。

「思い出す」「時間を空ける」「説明する」

この3つを意識するだけでも、勉強の効率は変わってきます。

ちなみに、記憶力の本を読んだのに内容を忘れてしまった人も、落ち込む必要はありません。

まずは本を閉じて、何が書いてあったか思い出してみましょう。

……もっとも、何も思い出せなかったら、もう一度読むところから始めるしかありませんが。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)