%で考えるべき、という話。~新橋心療内科コラム

◆ 心が病みやすい人が無意識に使っている「危険な思考パターン」

精神科医として日々たくさんの方の相談に乗っていると、心が病みやすい人にはある共通した思考の癖があることに気づきます。

それが、物事を「全か無か」でしか捉えられない、いわゆる『オール・オア・ナッシング』です。

100点じゃなければ、それはもう0点と同じ。 完璧に成功しないなら、すべて大失敗。

こんな風に、中間(グレーゾーン)の存在を脳が認められなくなってしまう状態ですね。

これ、やってる本人はめちゃくちゃ息苦しいですし、
常に極限状態のプレッシャーに晒されるわけですから、心が悲鳴をあげるのも当然なんです。

◆ 心理学で解明されている「白黒思考」のワナ

心理学や認知行動療法(CBT)の世界では、こうした脳の認知の歪みを『白黒思考』と呼びます。

人間は強いストレスや不安を感じると、
脳のプレッシャーを減らすために手っ取り早く「敵か味方か」「成功か失敗か」の二項対立で物事を整理しようとします。
脳の省エネ反応のようなものですね。

アメリカの著名な心理学者アーロン・ベック博士の研究でも、
うつ傾向が強い人ほど、この「白黒思考」の出現頻度が跳ね上がることが分かっています。

でも、ちょっと冷静に考えてみてください。

現実の世の中に、100%完全な白とか、100%完全な黒なんて、そうそう存在しないんですよね。
世の中の出来事の99%は、白と黒が混ざり合った「グレー」でできています。

プレゼンで噛んでしまったかもしれないけれど、伝えたい資料の重要ポイントは届いたかもしれない。
相手の返信は遅いけれど、ただ単に仕事が忙しくてテンパっているだけかもしれない。

それなのに、脳が勝手に「0点!終了!」と判定を下してしまうから、必要以上に落ち込んでしまうわけです。

◆ 精神科医が教える、一瞬で冷静さを取り戻す「%の魔法」

じゃあ、この「オール・オア・ナッシング」の地獄から抜け出すにはどうすればいいのか?

答えはめちゃくちゃ簡単です。

自分の感情や状況を、パーセンテージで数字に変換するクセをつけるんです。

たとえば、「プレゼン失敗した……」と思ったら、
「うーん、噛んだのは確かだけど、スライドは見やすかったし……まあ失敗度で言ったら40%くらいかな」

「嫌われたかも……」と思ったら、
「過去に仲良く話したこともあるし、嫌われてる確率は20%くらいで、残りの80%は単に相手が忙しいだけかな」

こんな風に、「%」という数値で表現した瞬間に、脳の興奮がすーっと冷めていくのが分かります。

数字で考えると、強制的にグレーのグラデーションが生まれるからです。
100%完全な大失敗なんて、現実にはそうそう起こりません。せいぜい30%とか60%の出来事なんですよ。

「まあ、30%くらいダメだったけど、70%は耐えてるからいっか!」

これくらいの「緩さ」を持てることが、メンタルを最強に保つ最大のコツです。

そんなこんなで、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)