失敗よりも成功を望むべし、という話。~新橋心療内科コラム
◆ 人の失敗で喜ぶ人が、知らず知らずのうちに不幸になっていく理由
ニュースやSNSを見ていると、他人の失敗や落ちぶれていく姿ばかりが好んで取り上げられ、
それを見てどこかスカッとしたり、密かに安心したりしてしまう……。
精神科医としてカウンセリングをしていると、
こうした「他人の不幸や失敗」に強く囚われてしまっている方にたくさん出会います。
でも、はっきりと言わせてください。
誰かが失敗したからといって、あなたが成功したことには1ミリもなりません。
他人がどれだけ転落しようが、自分の人生のステージが1ランク上がるわけでもなければ、自分の悩みが解決するわけでもない。
それなのに、なぜ私たちは他人の失敗ニュースにこれほど引き寄せられ、
そしてなぜそれが「精神的にめちゃくちゃ危険」なのでしょうか。
◆ 脳をバグらせる「シャーデンフロイデ」のワナ
心理学や脳科学の世界では、他人の不幸や失敗を見たときに感じる密かな快感のことを『シャーデンフロイデ』と呼びます。
人間には「他人と自分を比較して、自分の立ち位置を確かめたい」という本能があります。
そのため、自分より上にいた人やライバルが失敗して引きずり下ろされると、脳の報酬系(快楽を感じる部分)から
ドーパミンが分泌され、手軽な気持ちよさを感じてしまうのです。
しかし、ここに恐ろしい心理的トラップが存在します。
脳には「主語を認識するのが苦手」という性質があります。
あなたが日常的に他人の失敗ニュースばかりを追いかけ、
「失敗した!ザマアミロ!」という感情を反復して味わっていると、
脳は「失敗」というイメージそのものを強力に記憶に刷り込んでいきます。
するとどうなるか。
無意識のうちに、あなたの脳の標準設定が「失敗すること」へとフォーカスされるようになり、
自分がいざ新しい挑戦をしようとしたときにも、真っ先に「失敗のイメージ」が頭を支配するようになってしまうのです。
人の失敗を望む癖がついた人は、巡り巡って「自分自身も失敗を恐れ、挑戦できない人間」へと自分を追い込んでいきます。
◆ 他人の失敗ではなく「自分の足元」を見よう
「他人の不幸は蜜の味」という言葉がありますが、その蜜には強い依存性と毒があります。
手軽に得られる一瞬の快感に味を占めてしまうと、
自分が努力して成長することをやめ、
他人の足を引っ張ったり、他人が落ちてくるのを待ったりするだけの人生になってしまいます。
それってすごくもったいないと思いませんか?
もし今、SNSなどで他人の失敗や炎上ニュースばかり追いかけてしまっているなと気づいたら、即画面を閉じましょう。
他人が失敗しようが成功しようが、あなたの人生の価値には何の関係もありません。
誰かの転落を眺めて時間を溶かすくらいなら、今日自分が何をするのか、に注目することです。
自分の人生を豊かにできるのは、他人の失敗ではなく、いつだって「自分の小さな行動」だけなんですから。
そんなこんなで、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



