時間旅行が脳を疲れさせるという話。~新橋心療内科コラム

◆ なぜ「じっと座っているだけ」なのに脳はクタクタに疲れるのか?
体が疲れる理由は「動きすぎたから」ですが、脳が疲れる最大の原因は、まったく別のところにあります。
結論から言うと、脳が疲れるのは「過去」や「未来」に意識がジャンプしているからです。
私たちは無意識のうちに、意識を「過去」や「未来」というはるか遠くの時間旅行へ飛ばしてしまっています。
これって例えるなら、海外旅行に行って「時差ボケ」を起こしているのとまったく同じ状態です。
体は「今ココ」の部屋にいるのに、意識だけがタイムスリップして時差を生み出しているわけですから、
脳がクタクタに疲労していくのも当然なんです。
◆ 心理学が明かす「心ここにあらず」の恐ろしいコスト
心理学や脳科学の世界では、脳のエネルギー消費に関する驚くべき事実が分かっています。
ハーバード大学の心理学者マット・キリングスワース教授らが行った有名な研究によると、
人間は起きている時間のなんと「約47%」もの時間を
目の前のこととは違う「過去や未来の考え事」に費やしていることが判明しました。
さらに脳科学では、脳が特定のタスクに集中していないボーッとしている時間こそが
脳の全消費エネルギーの約60〜80%を垂れ流していることが解明されています。
◆ 最高のリセット術は「今ココ」に集中し直すこと
じゃあ、この「脳のタイムスリップ疲労」を止めるにはどうすればいいのか?
それは「過去」や「未来」に飛ばした意識を、そっと「今、目の前にあること」に引き戻してあげることです。
- 今食べているご飯の味に全集中する。
- 今歩いている足の裏の感覚に意識を向ける。
- 今淹れたお茶の温かさや香りをしっかり味わう。
「あ、また未来の心配にタイムスリップしてたな」と気づいたら、ただ「今やってること」に意識を集中し直す。
心理学ではこれを『マインドフルネス』や『グラウンディング』と呼びますが
要するに「意識の時差ボケを直してあげる作業」です。
もし今、頭が重くてダルいなと感じているなら、ぜひ「今ココ」を意識してみてくださいね。
今回のお話も参考になれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



