柳沢正史教授、オレキシンの研究でラスカー賞を受賞

こんにちは、ゆうメンタルクリニック 医師の森しほです!

さて、こちらの動画

ごはんを食べながら眠ってしまうかわいい子犬…に見えますが、実はこの犬、ナルコレプシーという病気なのだそうです。

ナルコレプシーでは、日中に強い眠気が突然襲ってくることがあります。

さらに、笑ったり、驚いたり、興奮したりするなど、強い感情をきっかけに、突然筋肉の力が抜ける「情動脱力発作」が起こることもあります。

この犬の場合は、大好きなごはんを食べるという強い情動をきっかけに、体の力が抜けてしまっているんですね。

そして、このナルコレプシーの研究から大きく注目されるようになったのが「オレキシン」です。

最近、このオレキシンの研究で話題になったのが、筑波大学の柳沢正史教授。

今年、柳沢正史教授とスタンフォード大学のEmmanuel Mignot教授が、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。

オレキシンは、もともと食欲に関係する物質として発見されました。

ところが研究を進めていくと、オレキシンは食欲だけではなく、私たちが「起きている状態」を維持するためにも重要だということが分かってきました。

つまり、

 「食べたい」
 「動きたい」
 「起きていたい」

という、一見別々に見えるものが、脳の中ではつながっているんです。

オレキシンの働きを利用した薬「デエビゴ」

そして、このオレキシンの働きを利用した薬もあります。

たとえば睡眠薬のデエビゴ。

デエビゴは、オレキシンの働きをブロックすることで、脳の「起きていよう」という力を弱め、眠りに入りやすくする薬です。

柳沢教授も短眠の堀さんも勧めるパワーナップ

さて、生活する上で、このオレキシンを上手に使っていく方法をお伝えします。

まず、日中どうしても眠いときがあったら、

柳沢教授も、短時間の「パワーナップ」、つまり昼寝をすすめています。

ポイントは、

「午後2時までにとる」

「20分程度で切り上げる」

「直前にカフェインをとる」

「しっかり脱力できる体勢で休む」

です。

コーヒーを飲んでから20分寝る、ということですね。

カフェインは効いてくるまで少し時間がかかるので、起きるころにちょうど効いてくる、という考え方です。

ただし、「昼寝したからOK」ではなく、長い目では睡眠時間を見直して行く必要があります。

寝だめは貯金ではなく借金返済?!

寝だめ」は「睡眠の貯金」ではありません。

よく「休日に寝溜めする」と言いますよね。

でも、睡眠は貯金のように、

「平日は5時間しか寝なかったけど、土日に10時間寝たから5時間貯金!」

というものではありません。

むしろ、

平日に足りなかった睡眠を、休日に借金返済している

と考えたほうが近い。

休日に長く寝ること自体が悪いわけではありません。

でも、毎週のように休日に大量に寝ないとつらいのであれば、それは「貯金」ではなく、平日の睡眠不足という借金が積み上がっているサインかもしれません。

「睡眠負債」の「差押え」に注意

そして怖いのが、その借金を放置していると起こり得る「マイクロスリープ」です。

これは、ほんの数秒程度、本人も気づかないような瞬間的な居眠り。

たとえば車を運転しているとき。

あるいは、集中力が必要な仕事をしているとき。

「ちょっと眠いけど、まだ大丈夫」

と思っていても、一瞬意識が落ちてしまうことがあります。

もしそれが運転中や危険な作業中に起きたら、大きな事故につながります。

つまり、睡眠不足を放置していると、

「借金返済」だけでは済まず、最後には「差し押さえ」

みたいな、とんでもないことになりかねない。

「休日に寝ればいい」

「昼寝すればいい」

だけではなく、そもそもの睡眠を見直すことが大切です。

昼間どうしても眠い日は、パワーナップを上手に使う。

でも、それを毎日のように必要としているなら、

「そもそも夜、ちゃんと眠れているかな?」

と考えてみる。

睡眠は、後からまとめて「貯金」するものではありません。

毎日きちんと返して、借金を作らない。

これが一番です。

そして、もし十分寝ているはずなのに日中の強い眠気が続く、仕事中や食事中にも眠ってしまう、笑ったり興奮したりすると突然力が抜ける、といった症状があるなら、単なる寝不足だと思わないでください。

ナルコレプシーなどの睡眠障害が隠れていることもあります。

オレキシンの研究は、

「食欲を調べていたら、覚醒の仕組みが分かった」

というところから始まり、ナルコレプシーの原因解明につながり、さらに現在の睡眠薬の開発にもつながっています。

「食べる」「起きる」「眠る」。

毎日当たり前にやっていることですが、実は脳の中では深くつながっているんですね。

眠気は根性で乗り切るものではなく、脳の仕組みを知って、上手に付き合っていきましょう。

ゆうメンタルクリニックでは、「睡眠外来」もやっています。

メンタル面で特にお悩みがない方でも、睡眠だけに困っているという方が大勢いらっしゃいます。

「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」「日中の眠気がつらい」など、睡眠について気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の著者

森 しほ

ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。
産業医として一般企業のケアも行っている。

◆専門分野: 精神医療 / 皮膚科
◆資格:日本抗加齢医学会専門医 / 産業医 / 公認心理師
◆所属学会:日本皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
◆著書:『発達障害ママの子育てハック(監修) 』飛鳥新社

 

  取材実績(一部抜粋)

【雑誌】マガジンハウス「Tarzan」
【雑誌】株式会社プレジデント社「PRESIDENT WOMAN」
【TV】フジテレビ『バイキング』
【TV】TBS『ビビット』
【YouTube】『ぶーちゃんねる-歌舞伎町リアル-』( 【病院】歩き辛いくらいアトピーがひどいので皮膚科に行ってきました。
【YouTube】『かずのすけ』( 敏感肌でもできる【痛くない医療脱毛】はあるの?お肌に優しい脱毛を受け続けたら5年前より若返った30歳男子の『顔脱毛』体験レポ
【Web記事】LITALICO発達ナビ
【Web記事】LITALICO仕事ナビ
【Web記事】Medicalook

他多数

森しほへの取材依頼はこちら