好き・嫌いを明確に話すことの大切さ。~新橋心療内科コラム
「人から嫌われたくない」
そう思うと、つい自分の言葉を飲み込んでしまいます。
本当はあまり好きではないのに、「私も好きです」と言ってみたり。
行きたくない場所なのに、「どこでも大丈夫です」と答えてみたり。
自分の意見があるのに、「みんなに合わせます」と言ってしまったり。
人間関係をうまくやっていくためには、もちろん相手に合わせることも必要です。
でも、それが続きすぎると、だんだん「あなたがどんな人なのか」が相手から見えなくなってしまいます。
たとえば、
「何食べたい?」
と聞いたときに、
毎回「何でもいいよ」と答える人より、
「今日はお寿司が食べたい!」
「辛いものはちょっと苦手!」
と言ってくれる人のほうが、その人らしさが伝わります。
これは単なるワガママとは違います。
心理学には「自己開示」という言葉があります。
自分の考えや感情、好みなどを相手に伝えることです。
自己開示は、相手との心理的な距離を縮めるうえで大切なコミュニケーションの一つです。
考えてみれば、
仲のいい友達については、
「この人は甘いものが好き」
「人混みは苦手」
「こういう話をすると喜ぶ」
など、その人の「好き・嫌い」をたくさん知っているのではないでしょうか。
好き嫌いが分かるから、その人のことを知った気がする。
その人らしさを感じられる。
そして少しずつ親しみも生まれていきます。
逆に、
誰に対しても好かれようとして、
自分の好みや意見をすべて隠してしまうと、嫌われることは減るかもしれません。
でも同時に、
「この人のことをもっと知りたい」
と思ってもらうきっかけまで減ってしまうことがあります。
だから、「みんなから好かれる自分」を作ろうとしなくていいのです。
もちろん、
思ったことを何でも口にしていいわけではありません。
「私はこれが嫌いだから、あなたもやめるべき」
ではなく、
「私はこれはちょっと苦手なんだ」
と伝える。
相手を否定するのではなく、自分のことを伝える。
この違いは、とても大切です。
人間関係では、「嫌われないこと」ばかりを目指すより、
少しずつ「自分がどんな人なのか」を知ってもらうことも大切です。
自分の意見があるなら、相手を尊重しながら伝えてみる。
そうやって見えてくる「あなたらしさ」が、
誰かにとっての「この人ともっと話してみたい」につながるのかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



