エネルギーは使うほど増えるという話。~新橋心療内科コラム

「今日は疲れているから、何もしたくない」

そんな日は、誰にでもありますよね。

仕事が休みの日には、できるだけ身体を動かさず、ベッドでゴロゴロしていたい。
でも、不思議なことに、一日中何もしなかったのに、夜になると妙にだるく感じることがあります。

反対に、朝は面倒だと思っていたのに、外に出かけたり、何かに夢中になったりしているうちに、
どんどん元気になってきた経験はありませんか?

実は、人間のやる気や活力は、必ずしも「休んだ分だけ増える」というものではありません。

心理学では、行動することで気分や意欲が変化することが知られています。

たとえば、部屋の掃除を始める前は面倒だったのに、いざ始めてみると、あれもこれも片づけたくなる。

勉強する気がなかったのに、とりあえず教科書を開いたら、思った以上に集中できた。

こうした経験は、行動がやる気を引き出すことの身近な例です。

心理療法にも「行動活性化」という考え方があります。

これは、気分がよくなるのを待つだけでなく、
達成感や楽しさにつながる行動を少しずつ増やしていくことで、気分の改善を目指す方法です。

つまり、「元気になったら動こう」と考えるだけでなく、
「少し動くことで元気が出るかもしれない」と考えてみるのです。

たとえば、休日に何もする気が起きなかったら、まずは5分だけ散歩してみる。
読みたい本があるなら、とりあえず1ページだけ読んでみる。

友人と会うのが面倒でも、実際に会って話してみたら、帰るころには気分が明るくなっているかもしれません。

特に、スポーツ選手が試合に勝ったときのような「達成感」は、次の行動への意欲につながることがあります。

小さなことでも、「できた!」という経験を積み重ねることで、
さらに何かをやってみようという気持ちが生まれやすくなるのです。

もちろん、身体が本当に疲れているときや、睡眠不足のときには休息が必要です。
無理をして動き続ければ、かえって疲労がたまってしまいます。

ただ、身体の疲れというよりも、なんとなく気分が乗らないだけなら、少し行動してみる価値はあります。

大切なのは、最初から大きなことをしようとしないことです。

「5分だけやってみよう」
「少しだけ身体を動かしてみよう」

そんな小さな一歩で十分です。

やる気が出るのを待っていたら、いつまでたっても始められないことがあります。

だからこそ、元気がないときほど、無理のない範囲で何かひとつ行動してみる。

エネルギーは、ただ温存するだけでなく、使うことで新たな意欲が生まれる場合もあるのです。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)